「シルクストールに描く桜」
この作品が見てみたくて、横浜のギャラリー出掛けたのがきっかけです。
シルクと日本画の美しさ
シルクストールに日本画を描く、とても衝撃的でした。
実際に目で確かめたかったのです。
行かずにはいられない。
目の前にしたとき、桜が描かれたストールに圧巻。
透き通るシルクに、桜色の花びら
より幻想的に感じます。
鑑賞するストールでしかないと思い込んでいたら、
商品として販売されていたのです。
一枚、人筆の手書きのストールを普段に巻くなんて滅相もない。
眺めて楽しむ鑑賞であるべきじゃないのかなと思いきや、
購入された方は、既に使用されていると聞き驚きました。
光沢のあるシルクをキャンパスに
繊細な色遣いと筆遣いの日本画の技法で描く世界観。
本当に見事な作品でした。
川俣シルク
初めて、彼女に出会ったのは、上野の作品展にお邪魔した時です。
横浜のギャラリーの話しから、
彼女の経緯や日本画の顔料などお伺いしたのです。
そこから、交流が始まりました。
そして、輝かしく「桜花賞展」で大賞を受賞されましたので、
「郷さくら美術館」で拝見させていただきました。
その後、川俣シルクに日本画を描くことを知ります。
川俣シルクは、福島の絹織物です。
福島県は、磐梯山・猪苗代湖をはじめとする自然景観の美しさは日本有数の絹織物の産地として知られています。
奥羽山脈は、桑の育成に最も適した気候風土であり、純白な輝きと光沢をもつ絹とともに
「東洋一のシルク」といわれた川俣シルクが誕生しました。
川俣の養蚕・絹織物は、史誌の伝えるところによると、
今からおよそ1400年前、崇峻天皇の妃であった小手姫が、
蘇我馬子に故郷大和を追われた皇子を探しもとめてこの川俣に辿りつき、
桑を植え養蚕を行い、糸をつむぎ、機織の技術を伝承しました。
この時から、絹は川俣の物産として各地に広がり、楯絹の名声は、全国に波及していきました。
(織物産業のHPより抜粋)
川俣シルクと日本画
繊細な 「世界一薄いシルク」 の風合いを生かし、”花は咲く” をテーマに描いた世界は
とても艶やかで美しいのひと言です。
四隅と縁を張って顔料の岩絵具で描くんだそうです。
彼女の描く花は可憐で繊細で優し気。
風が似合うシルク、まるで ”天女の羽衣”のようです。
横浜ギャラリーのシルクストールの実用に
「とてもストールとしてあしらうなんてできませんよ」と訴えた覚えがあります。
彼女との出会いから、わたしは日本画の素晴らしさに気づき、
美しい「川俣シルク」についても教えていただいたのです。
ご縁からいただいた財産になりました。
また、いつの日か彼女の世界にお邪魔したいなと願っています。
彼女の描いた「熊野古道」の絵画も、とても好きです。
静寂の中の美
彼女自身もそういうかたです。